動きを1秒間に何枚も撮影すると、連続して動いているように見えます。撮影枚数が少ないと、車輪が逆回転して見えることがあります。
標本化定理を体験する
連続した音の波を、コンピュータは一定間隔の数値として記録します。点を取る間隔が粗すぎると何が起きるのか、波形を動かして確かめましょう。
1. 動画のコマ撮りで考える
音の波の高さを1秒間に何回も測ります。測る回数が少ないと、元とは異なる低い周波数の波として記録されます。
連続的に変化する信号の値を、一定の時間間隔で取り出すことです。取り出した1つ1つの値を標本と呼びます。
2. 標本化定理
信号に含まれる最も高い周波数まで正しく復元するには、その2倍を超える標本化周波数が必要です。
波が1秒間に繰り返す回数。5 Hzなら1秒間に5回振動します。
1秒間に値を測る回数。14 Hzなら1秒間に14個の標本を取ります。
その標本化周波数で表現できる周波数の上限です。
ちょうど2倍では、波の山や谷を外す位相があり、どの波だったか一意に決められません。実際の処理では余裕を持たせます。
3. 波形を標本化してみる
青い線が元の信号、丸が取り出した標本、紫の破線が同じ標本点を通る復元候補です。
青い波が1秒間に振動する回数
1秒間に標本を取る回数
標本を取る位置と波の山・谷のずれ
- 必要な周波数
- ナイキスト周波数
- 1周期あたりの標本数
- 標本から見える周波数
操作方法
- [余裕を持って標本化]を押し、紫の破線が青い波と重なることを確認します。
- 標本化周波数を少しずつ下げ、判定と標本点の間隔がどう変わるか見ます。
- [ちょうど2倍で波が消える]を押します。標本点がすべて0になり、元の振動を記録できないことを確認します。
- [別の低い波に見える]を押します。標本点が、元の8 Hzだけでなく紫の2 Hzの波にも一致することを確認します。
- 位相を動かし、標本点の値が変わっても周波数条件そのものは変わらないことを確かめます。
標本値を確認する
標本化間隔は です。最初の標本値を表で確認できます。
| 標本番号 n | 時刻 t(秒) | 標本値 |
|---|
4. エイリアシングとは
標本化周波数が不足すると、標本点だけから元の波と別の波を区別できません。高い周波数が低い周波数へ折り返して見える現象をエイリアシングと呼びます。
8 Hzの波を10 Hzで標本化すると、ナイキスト周波数は5 Hzです。8 Hzはこの上限を超えるため、標本点からは2 Hzの波と区別できなくなります。
見かけの周波数は、標本化周波数の整数倍を足し引きし、0 Hzからナイキスト周波数の範囲へ折り返して考えます。
5. 実際の音声では
実際の音にはさまざまな周波数が混ざっています。そのため、最も高い周波数を基準に標本化周波数を決めます。
標本化周波数の半分を超える成分を、ローパスフィルタ(アンチエイリアスフィルタ)で取り除きます。
一定間隔で信号の大きさを測り、時間方向を離散的な値に変換します。
測った大きさを決められた段階の数値に丸めます。標本化とは別の処理です。
標本化は「いつ測るか」を離散化し、量子化は「どの大きさとして記録するか」を離散化します。
6. まとめ
連続信号を一定間隔で測ることを標本化という。
標本化周波数は、信号の最高周波数の2倍を超える必要がある。
標本化周波数の半分がナイキスト周波数である。
条件を満たさないと、別の低い周波数に見えるエイリアシングが起こる。
最高周波数が8 kHzの音声を標本化するとき、標本化周波数は何kHzを超える必要がありますか?
答えを見る
16 kHzを超える必要があります。2 × 8 kHz = 16 kHzだからです。